ドクターズファイルに馬場理事長が掲載されました。
脂漏性皮膚炎
皮膚では皮脂腺がつくった皮脂が毛穴を通って分泌されています。この分泌が多くなった状態を脂漏といいます。
脂漏性皮膚炎は皮脂腺の多い部位(頭・顔・耳のうしろや入り口・わきの下・胸と背中の正中部・太もものつけね)にできる湿疹で、かさかさした赤みとなり、通常痒みを伴います。
「フケ症」の大部分は、脂漏性皮膚炎の軽いもの、あるいは前段階と考えられます。
原因は?
体質的に皮脂の分泌が多い人がなりやすく、マラセチアというカビ(真菌)や紫外線が関与しているといわれています。マラセチアは常在菌で誰の皮膚にも存在しますが、皮脂を好むカビで脂漏部位で増殖し、皮膚に炎症をもたらし、脂漏性皮膚炎を発症させると推察されています。また、皮脂の分泌をみだす生活習慣や食生活は脂漏性皮膚炎を悪化させます。
間違いやすい病気は?
比較的診断しやすい病気ですが、前額部の頭髪の生え際などに発疹が限局しているときは、初期の尋常性乾癬と区別しにくいことがあり、この場合は注意して経過をみる必要があります。また、水虫菌の一つであるトンズランスというカビが頭に感染すると、脂漏性皮膚炎に似た症状となることもあるため、区別が必要です。
顔に生じた場合は、時として酒さや酒さ様皮膚炎と紛らわしいことがあります。
わきの下や太もものつけねに生じた場合はタムシ(体部白癬)、胸や背中では、癜風というカビの病気と見分けがつきにくいことがあります。
治療は?
医師が処方する塗り薬や飲み薬だけでなく、日常生活から発症・悪化の因子を取り除くことも大切です。皮脂を適度にし清潔にする必要があるので、洗顔・洗髪はきちんと行いましょう。
炎症がある場合は、ステロイド外用剤を状態に応じて使います。さらに、カビに対して真菌剤を使います。
内服薬としては、痒みの強いときには抗ヒスタミン剤を用います。また、皮脂の量を調節し、皮膚の新陳代謝を促し、肌を整える目的でビタミンB2、B6の飲み薬も用いる事があります。